2020/02/27
香港人事管理・ここがポイント（雇用条例編）「“MPF（” 強制性公積金/Mandatory Provident Fund Scheme）制度について」
ポイント② 雇用条例編
その6. 「“MPF（” 強制性公積金/Mandatory Provident Fund Scheme）制度について」
☆P商事（香港）営業所の川崎経理部長は、MPFについても納得！したいということから、給 与計算に連動してMPFの積み立て処理ができるのか気になってきました。そこで今日も、な んといっても頼りになる我ら“ポイントさん”に聞いてみることにしました。
| 川崎部長 | ： | ポイントさん、MPFの制度について、基本的なこと教えてもらえませんか？ |
| ポイントさん | ： | もちろんですよ！川崎部長には、香港の人事管理についても、いろいろ“納得！“していただきた いと思っていて、これは、私の今期の目標設定の2番目にしてあるんです。 |
| 川崎部長 | ： | へぇ、さすがまじめなポイントさん！自己目標を掲げて仕事しているんだ！ちなみに今期の目標設 定で１番目は何ですか？ |
| ポイントさん | ： | 1番目は、毎期同じ目標設定ですが、ウチの奥さんを“納得！”させることです。 |
| 川崎部長 | ： | ああ、そっちは、クリアできそうにありませんね。何といってもポイントさんって恐妻家ですよね。奥さ んって外資系銀行勤務のバリバリで、超切れ者管理職ですものね。 |
| ポイントさん | ： | まあ、暗い話はそのへんにして、さぁて、香港の年金制度MPFについて説明させていただきましょう。 |
| 川崎部長 | ： | 宜しくお願いします！ |
| ポイントさん | ： | 香港は、ご存知のように植民地時代が長く、公務員や教師以外には、社会保障は関係がない・・・と いった考え方が一般的でした。外資系企業である日系企業では、優秀な人材の確保のため任意の 年金積み立て制度であったORSO（Occupational Retirement Scheme）を任意で導入する企業もあ りましたが、社会全般的には大手企業や限られた外資系企業が導入するに過ぎませんでした。そこ で、強制年金制度となると2000年12月から始まったのがこのMPF（強制性公積金/Mandatory Provident Fund Scheme）となります。 |
| 川崎部長 | ： | はい。 |
| ポイントさん | ： | MPF は“強制性公積金”と書きますが、この文字が物語るように、法定の積立て制度ですが、65歳を 迎えた年に一括支給される仕組みですから法定の退職金積み立て制度と言ったほうが判り易いで しょう。 |
| 川崎部長 | ： | なるほど。 |
| ポイントさん | ： | 積み立て額は、給与算定期間に確定した月収の5％に値する金額を下回らない、また、HK$1,250 （2014年5月現時点、6月1日よりHK$1,500に引上げられることが決定している）を上回らない上限金 額を労使双方合わせて積み立てます。 |
| 川崎部長 | ： | 雇用主が積み立て手続きを行なうのですね？ |
| ポイントさん | ： | そうです。雇用主に積み立て義務が課せられます。雇用主は、毎月の給与計算の一連の作業に組 み込んで、毎月10日までに積み立てを完了しなければなりません。 |
| 川崎部長 | ： | 積み立て先はどこですか？ |
| ポイントさん | ： | MPFA(Mandatory Provident Fund Schemes Authority)という組織が管理している制度ですが、実際 の積み立て管理や資金運用は、民間の銀行や保険会社にMPFAより委託しておこなっています。 また、企業は、委託先（MPFプロバイダー）をリストから1社を選び口座開設と社員の登録を行な います。 |
| 川崎部長 | ： | 積み立ての対象者は、正社員だけですか？ |
| ポイントさん | ： | 正社員はもちろん、臨時社員やパートタイムなど、採用名称や勤務時間等に係わらず、給与算定期 間の収入がHK$7,100（2014年5月現在）を上回る社員を対象として積み立てます。 |
| 川崎部長 | ： | 入社して直ぐに、積み立てを始めるのですか？ |
| ポイントさん | ： | 入社60日目から積み立てを始めなければなりません。ただし、最初の30日＋ひと月に満たない日数 は、社員からの積み立ては免除となっています。一方、会社には積み立ての免除期間が設定され ていませんので、一回目の積み立て時には、社員の入社日に遡って積み立てを開始することになり ます。また、ボーナスやダブルペイも含めて収入を計算します。 |
| 川崎部長 | ： | 年金というより退職金に近い制度という説明でしたが、積み立ては、毎月5％ずつ、また上限は必ず HK$1,250と定められているのですか？ |
| ポイントさん | ： | 多くの企業は、積み立て率も上限も規定どおりとしています。しかし、会社の任意で積み立て率や上 限を上げたりといった任意の手立てを取って、福利厚生を手厚くしている会社もあります。 |
| 川崎部長 | ： | ☆Ｐ商事では規定どおりですね。 |
| ポイントさん | ： | あのう、ここで言っても良いでしょうか？ウチの奥さんの勤め先ですが、有名な外資系金融だという のはご存知でしょう。福利厚生は、手厚いことで知られていますが、MPFも例外ではありません、会 社側の積み立て率は10％、金額上限は無しとしています。 |
| 川崎部長 | ： | そうかぁ、ポイントさんって、それだけでも怖い奥さんに大負けしてますね！ |
| ポイントさん | ： | 怖い奥さんだけ余計ですよ！ |
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