2020/02/21

香港人事管理・ここがポイント(雇用条例編)「“肩書き”が大切?」

 

ポイント② 雇用条例編

その2. 「“肩書き”が大切?」

 

☆P商事(香港)営業所では、新しく総務部担当として河野部長が日本から就任してきした。 そこで、河野部長は、一日でも早く香港での人事管理に馴染めるようにと、なんといっても頼 りになる我らポイントさんからいろいろレクチャーを受けることにしました。

 

河野部長 ポイントさん!今日からの“香港新就任者のための何でもレクチャー”をとっても楽しみにしてきたん です。なんといっても頼りになるポイントさんは、本社でもすっかり有名ですから、どうぞ宜しくお願い します!香港では、社員全員に“肩書き”を付けなければならないと聞いたのですが、本当ですか?
ポイントさん “肩書き”や“役職”という日本語のニュアンスとは一致しない場合が多いので、ここでは“タイトル”と 呼ばせていただきます。“タイトル”というのは、全ての社員につけられるものです。
河野部長 そういえば、先日来社してくれたサプライヤーの営業担当のケースですが、受付でその営業担当さ んが自分の名刺をレセプションのココさんに渡し、彼女が先に私の席まで持ってきてくれました。そ の名刺の“タイトル”を見たら“エグゼクティブ”って書いてあったので、どんなに偉い人が来たのかと 慌てて会議室に飛び込んだら、あんまり若い人が座っていたので拍子抜けでした。彼に話を聞いて みると、新卒でこの会社に入って1年足らずということでした。
ポイントさん そうでしたか。香港では管理職にない営業担当を“セールス・エグゼクティブ”、また、内勤であれば “オフィサー”などたいそうなタイトルをつけます。部長が想像されたように、本来このエグゼクティブ というタイトルが持つ意味は、米国式で、日本でも昨今頻繁に使われている“最高経営責任者”=“ チーフ・エグゼクティブ・オフィサー(C.E.O.)”にも入っているように、管理職、それも上級管理職です からね。
河野部長 そうでしょ。このようなタイトルを簡単に付けられると、こっちの判断が狂いますよね。
ポイントさん  そのとおりです。先方が、米系、英系、中華系、香港系または日系の何れの企業であるか、または、 企業のサイズ、業種においても理解して判断しない限り、相手の組織上における本当の“役職”をタ イトルだけで本当に理解することが難しい場合があります。また、香港の現地企業では、レディ・ファ ーストの習慣同様このタイトルについても英国式を一般的に使用しています。例えば香港では“社 長”は“マネージング・ダイレクター”で、米国式の“プレジデント”は一般的ではありませんね。しか し、米系企業も多く進出しているので、そのまま自国式を香港でも使用している場合があります。こ の場合、例えば“部長”を英国式のように“マネジャー”ではなく“ダイレクター”と呼んだりします。し かし、英国式では“ダイレクター”は“取締役”だと思ってしまいますね。
河野部長 本当にややこしいですね。それでは、タイトルにはあまり意味を感じられませんね。
ポイントさん いいえ、ところが人材側の立場では、このタイトルが、雇用条件の一つとして考慮するに当たる重要 な問題なのです。
河野部長 ??
ポイントさん これには日本と香港の“就職”の概念が根本的に異なっていることを考える必要があります。
河野部長 就職の概念・・・?
ポイントさん 日本では、“就職”は、“入社”ですね。会社に入るという観念です。
河野部長 就職して会社の社員になるわけですから、それはそのとおりでしょう。
ポイントさん それが、香港では“就職”は、文字通りなのです。“職に就く”という概念が強いのです。ですから、タイ トルとは人材が就いた仕事の専門領域を明確に表現していることが大切です。これは、同職域を選 んで転職しながら収入と立場を上げ成長していく人材市場であるからですね。
河野部長  はあ・・・
ポイントさん 例えば、小さな事務所で内勤の一般事務を採用した場合“タイトル”などは必要ないと思われるかも しれません。しかし、香港では、いかに小さい組織であっても、その雇用条件として、“収入”“勤務 地”“勤務時間”“福利厚生”と同じように、この“タイトル”について重視します。例えばこのタイトルを “総務クラーク”として募集されるより、同じ給与でも“オフィサー”として募集すると応募者数が倍増 したりするのです。
河野部長 そうなんですか!でもまた、転職するときに活用できる・・・ってことですね。
ポイントさん ステップアップを図るためには、転職の度に高いタイトルを目指します。しかし、採用側としては、給 与と組織サイズを聞けば、そのタイトルの真価について簡単にはかることが出来るのも事実ですが
河野部長  なるほど。
ポイントさん さて、また香港で、社員と飲茶に行かれる機会が結構あると思いますが、是非、5回に1回ぐらいは社員 にお茶を注いで上げて下さい。
河野部長 やはり、男性の役目なんですかねえ・・・
ポイントさん いやあ、さすがに社員は河野総務部長には、男性であるからとは思いませんよ。ここでご説明したい のは、本来、お茶を注いであげるという行為は、男性・女性の役割ではなく気持ちの表れなんです。 上司への尊敬や部下を敬う気持ちをそれぞれが相手に現すことができます。日本は熱燗というとこ ろでしょうが、ここはプーアール茶で人間関係を構築させてください。
河野部長 プーアール茶で人間関係の構築・・・ダイエット効果も期待できそうですかね!?
ポイントさん 河野部長、そういえばこの二週間の歓迎中華宴会で、ちょっとメタボ部長じゃないですか?
河野部長 ポイントさん、素敵な“タイトル”ありがとう!

 

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