2020/02/20
香港人事管理・ここがポイント(雇用条例編)「“713”雇用条例の一部改定について」
ポイント② 雇用条例編
その1. 「“713”雇用条例の一部改定について」
☆P商事(香港)営業所の川崎経理部長は、2007年7月13日に改定されたことから、“713”と 呼ばれている香港雇用条例について、あまり理解していません。この雇用条例の一部変更 が影響して、今までの給与計算のルールとは違った、ちょっと複雑な組み合わせの計算方 法が法定基準となってしまいました。そこで、やっぱりなんといっても頼りになる我らポイン トさんに“713”の影響を尋ねることにしました。
川崎部長 | : | あのう、ポイントさん、ポイントさん、ちょっと聞きたいことがあるんですが・・・ |
ポイントさん | : | いやあ、珍しいですね、川崎経理部長。一体どういったことでしょう。 |
川崎部長 | : | 実は、この給与計算の一覧表ですがね。どうも数字に間違いがあるようで、納得がいきません。 |
ポイントさん | : | そうでしたね、何でも“納得する!”がモットーの川崎経理部長ですものね。少しでも数字に違いがあ るのは、夜も眠れないでしょう。どれどれ・・・ |
川崎部長 | : | 実は、営業部の蔡さんの給与ですよ。営業部では勤務年数が一番長い蔡さんには、何年も基本給 の見直しを控えさせてもらっています。その代わりに営業成績によって四半期に1回コミッションを支 給する旨、雇用条件を書き加えているのですが、コミッションが支給される1、4、7、10月以外の給与 は基本給のみのはずです・・・ |
ポイントさん | : | ふむふむ・・・ |
川崎部長 | : | しかし、見てくださいよ。ここの8 月と10月分の給与。基本給以外に加算されている数字がありますね。 |
ポイントさん | : | ・・・はい。 |
川崎部長 | : | この2ヵ月は、コミッション支給月ではないので、このように基本給与以外に計算される数字があるこ とには納得できません。 |
ポイントさん | : | それが、今では、そうはいかなくなっているのです。川崎経理部長は、2007年7月13日に何があったか ご存知ですか? |
川崎部長 | : | 7月13日?!誰か偉い人の誕生日? |
ポイントさん | : | いえ、偉い人の誕生日ではなく、“新しい給与概念の誕生日”と言ったところでしょうか。 |
川崎部長 | : | ??!! |
ポイントさん | : | 川崎経理部長、給与計算を担当する簡さんが、一生懸命説明していましたね。 |
川崎部長 | : | そうでした!何か条例の改定でややこしい!と、愚痴っていた記憶は残っています。すみませんが、 もう一度改めて僕に説明してくれませんか? |
ポイントさん | : | わかりました!例えば、香港では、業種によって、基本給を極端に抑え、成功報酬を手厚くしている 雇用主がいます。不動産斡旋や宝石商、スポーツジムなどといったビジネスですね。極端なものに は、基本給がHK$1,000ぐらいで後は出来高制で・・・といった支給をしていることもあるでしょう。 |
川崎部長 | : | いろいろ、厳しいようですね・・・ |
ポイントさん | : | このような給与体系は、雇用主側には、固定費を抑えられるので都合が良いのですが、働く側には 不利な点が目立ちます。 |
川崎部長 | : | 収入が不安定になりますからね。 |
ポイントさん | : | それだけではなく、基本給を元にダブルペイ支給額が決まります。それのみならず辞職/雇用契約 の解約通知金や有給休暇買い取り、金額の大きいところでは長期服務金などいろいろな人件費の 計算に影響しています。 |
川崎部長 | : | そうでした。いろいろありますね。 |
ポイントさん | : | これらは、日当計算から割り出すようになりますが、最終給与の基本給を基に日当を割り出すのは、 日当に相当日数を掛ければ計算できたのですが、“713”後は、そういうわけにはいきません。 |
川崎部長 | : | どうなったのですか? |
ポイントさん | : | 詳細なルールができあがってしまいましたが、今日は、重要な点を説明してみます。まずは、会社は 全社員の過去12ヶ月におけるあらゆる人事記録を保管する義務がある・・・ということです。また、日 当を“713”を踏まえて計算すると、計算する当日の前月から12ヶ月間に遡った期間を“対象期間”と して、その期間における全収入(契約書に明記された、または約束を交わされた手当てやコミッショ ンなども含む)を足して、対象期間中の日数で割ります。ただし、この計算には、ダブルペイやボー ナス、また通知金等は含みません。 |
川崎部長 | : | ええっ?!ちょっと待って下さい。それじゃ、先ほど話したように、蔡さんへ支給されている四半期に 1度のコミッションも加算し年収計算するのですか? |
ポイントさん | : | その通りです。蔡さんの8月分給与計算であれば、7月から過去12ヶ月間さかのぼり基本給とコミッ ションを含む金額を“全給与”として計算します。そして、365日で割れば日当が出ることになりますね。 |
ポイントさん | : | そして、このような過去12ヶ月の収入の平均値を用いることが、713後には頻繁にあります。例えば、 有給休暇の取得日は、この計算を用いた給与計算となります。 |
川崎部長 | : | なるほど、それで蔡さんの給与が、8月と10月に現れているわけですね。彼は、この2ヶ月には、それ ぞれ3日ずつの有給休暇を取得しています。コミッションには変動があるので、同じ3日間ずつ取得し ていても、月によって違ってくるということですね。 |
ポイントさん | : | そのとおりです。このように、“713”の影響で、同じ月であっても平日、有給休暇、法定祝日などの日 当に差額が生じてくることから、差額があった場合は、 払い戻してやらなければなりません。 |
川崎部長 | : | ええ~ぇ、ポイントさんには悪いけど、この話、私には納得できませんね・・・ |
ポイントさん | : | すみません。ひょっとしてどこか説明不足なところがありましたか? |
川崎部長 | いえいえ、ポイントさんの説明に納得していないのではありません。忙しい中、有給休暇を与えた上 に日当の差額まで支給するのか!!ということですよね。いくら説明してもらっても、気持ちの上で “納得”できませ~ん!! |
Pasona Asia Co., Limited パソナアジアカンパニーリミテッド
TEL: 852-2882-3913 (日本語ライン), Fax : 2890-8553, E-mail : hrmhk@pasona.com.hk
17/F., Ashley Nine, 9 – 11 Ashley Road, Tsim Sha Tsui, Kowloon, Hong Kong