2020/02/18

香港人事管理・ここがポイント(採用編)「初任給はどう決める!?」

 

ポイント① 採用編

その8. 「初任給はどう決める!?」

 

☆P商事(香港)営業所の山田部長は、営業アシスタントの人選が終わり、採用通知書をまとめています。ポイントさんもすっかり安心・・・と思っていたのはつかの間、なんと“初任給”について、まだ決めかねている山田部長だったのです。

 

ポイントさん おはようございます、山田部長。朝から頭を抱えていらっしゃるのは、二日酔いのせいですね!!
山田部長 その言っぷり、僕の朝から二日酔い説を断定していますね。でも、実は、そればっかりじゃないんだよ、今日の頭痛の原因ですが、呉さんの初任給なんだけれどねえ。
ポイントさん ええっ!?まだ、初任給を決めていらっしゃらなかったのですか?
山田部長 だってそりゃ・・・お金の話っていうのは、なんといっても本人の適応性とかやる気とかを十分理解した上で、決めるべきものだろう?!本人の希望は聞いているけど、そのまま通していいのかって問題もあって。
ポイントさん お金について後で話すというのは香港では美学ではありません。呉さんはきっと不安で一杯だと思いますよ。
ポイントさん 採用も交渉事の一つですから、まずは、条件としてのお金の話は先にします。この点が決まっていないというのは採用が決まっていないものと同様です。
山田部長 いやあ、だから電話だけど、悪いようにはしないからと言ってあるので。
ポイントさん 通じていますかねぇ~。
山田部長 ああ、またそういうふうにヒトを不安に落とし込む。
ポイントさん 彼女の希望金額については、聞いておられましたよね。
山田部長 そう、その彼女の希望金額なんだけれどそれがちょっと問題でね。今朝、人事で調べてもらったら、在職6年になる同部門の林君より上回っていることが分かったんだ。
ポイントさん そういうことですか。
山田部長 採用する呉さんは林君より年齢も少し若い。学歴は大卒なので高いが、その分社会経験は短い。果たして彼女の希望金額どおりの初任給を払ってやっていいのだろうか?
ポイントさん そうですか、それでは、呉さんの希望給与をまずは“お金”と考えないでみてください。
山田部長 何を言ってるのポイントさん?誰が見ても希望給与はお金だろう!
ポイントさん いいえ、人材にとっては“お金”でありますが、それ以上に本人の“プライド”なんですね。そして“市場相場”であるとも言えるので。
山田部長 “プライド”?“市場相場”?
ポイントさん 転職が盛んな香港では、給与の市場相場はみんなよく研究しています。また、現職の給与基準や仕事内容と新たな職場を比較して、けっこう冷静に希望給与を割り出してきます。
山田部長 転職については我々よりもずっと慣れているよね。
ポイントさん 呉さんの現給与も聞いていただいていますよね。
山田部長 ちゃんとここに、給与証明書までもらってあるよ。
ポイントさん 一般的に転職では、年収の15%アップは狙っています。呉さんの場合はどれぐらい言ってきていますか?
山田部長 現年収と比較してみると・・・ええっと・・・10%ぐらいってところですね。
ポイントさん 山田部長は、試用期間後に呉さんの基本給を見直されるおつもりはおありでしょうか?
山田部長 それは、ちょっと無理だね。ウチの会社は4 月昇給なので。
ポイントさん はい、分かりました。そういうことであれば、彼女の初任給は、希望通りを叶えてあげてください。ただし試用期間後の見直しは“無し”ということもきちんと説明されて。これがクリアーなオファーになると思います。相手のプライドも市場相場も尊重して。
山田部長 今日も朝から冴えてますね、ポイントさん。それじゃ、そういうことで僕はちょっと一服してくるか。
ポイントさん ああ、山田部長、オフィスビル全面禁煙のお陰で、一日の運動量が増えてよかったですね。
山田部長  そうそう、下まで階段使って往復しているんでね。
ポイントさん 健康第一ですからね!!
山田部長  ああ、やっぱりたばこやめよ…

 

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